WB8勝目、GS19勝目!フェデラー優勝おめでとう!!
こんにちは。
フェデラーがウィンブルドン(WB)決勝でチリッチを破って優勝を決めました。
テニス歴15年(笑)でフェデラーの大ファンである僕がこの試合を観て考えたことを以下に書いていきます。
【戦前予想】フェデラー80%、チリッチ20%
芝の王者フェデラーが優位と予想していました。(特段珍しいことではなく、一般的にもこう思われていたことでしょう。)
理由は以下の通りです。
● フェデラーは今大会でフィジカルを温存できている
今シーズン絶好調であるフェデラーの唯一ともいえる敵は自らの体力です。昨年の準決勝(対ラオニッチ)も体力切れで敗れたようなものです。
しかし、今シーズンはクレーコートの大会を全て欠場し、充実したフィジカルをもってWBに入ってきました。また、今大会は準決勝まで1つのセットも失わずに来ており、ほとんど体力を失っていません。このため、自らの体力という課題はクリアされていると考えました。
● フェデラーはチリッチのようなビッグサーバータイプが得意である
題目の通りです。世界ナンバー1のリターン力を持つフェデラーはビッグサーブを武器とする選手を「カモ」にしてきました。(「カモ」として代表的な選手はロディックです…。)
今大会もサーブが武器で芝を比較的得意とするベルディヒ、ラオニッチを破っています。
● 過去フェデラーはチリッチに一度しか負けたことがない
これは戦前の勝率だけですね。特に書くことはありません。
一方、チリッチの勝利が20%あり得ると予想した理由は以下の通りです。
● チリッチが大舞台に強い選手である
先述の通り、チリッチは今大会までにフェデラーから1勝しかしたことがありません。
しかし、この1勝は2014年の全米オープン、錦織圭を決勝で破ってグランドスラム(GS)初優勝を決めた大会の準決勝でのものです。
これまでにGS、ATP1000、500、250の全てで優勝経験のあるチリッチは大舞台に強い選手と言えます。
● 昨年のWBで2セットアップとフェデラーを追い込んだ
昨年のWBではフェデラーが勝利したものの、2セットアップとチリッチが勝利の1歩手前まで行きました。これは球足の速い芝のコートでチリッチがサーブとフォアで押し込み、フリーポイントを稼ぐことができていたためです。昨年の試合のような展開でチリッチが試合を進められるのであれば、勝つチャンスもあると考えていました。
それでは以下、僕が感じた試合の印象です。
【1stセット】フェデラー 6-3 チリッチ
第4ゲームまではフェデラーのサービスゲームでデュースにもつれ込むなど、チリッチが押していたように思えます。ストロークラリーで優位に立つチリッチは絶好調モードの兆しが見えていました。
しかし、第5ゲームの2ポイント目でフェデラーがスライスで浅く落としたボールの処理の際にチリッチが転倒しました。ここで流れが傾いたように思えます。その後はフェデラーのバックハンドを狙ってもチリッチがラリーで優位に立てなくなりました。
第6ゲームはフェデラーらしい形をもってラブゲームでキープ。最後のポイントは1stサーブからスピンサーブを打つなどペースを変える余裕すら感じられました。
第8ゲームのフェデラーのサービスゲームもラブゲームキープ。
第9ゲームのチリッチのサービスゲームがこの試合の流れを決めてしまったと思います。ラリー戦をチリッチが制して30-0。ここでフェデラーが浅く落としたボールに対する処理がまずく、30-15。その後はサーブで押す以外にチリッチがポイントを取る術がなくフェデラーがブレーク。ここをチリッチがキープしていれば1stセットを落としても2ndセットがチリッチのサーブからになってリズムがつかめていたかもしれない…。
【2ndセット】フェデラー 6-1 チリッチ
一方的な展開でした。
第1ゲームはラブゲーム。(以外にもフェデラーは1stセットでサービスエースはなく、このゲームで初めてエースを取りました。)3ゲーム連続のラブゲームキープです。芝のコートでこの展開が作れているフェデラーは負けるようには見えませんね。
第2ゲームでフェデラーが早くもブレーク。2ndサーブでフェデラーのバックにスピンサーブを打つチリッチですが、頭の高さの打点でフェデラーが厳しいコースにリターンを返すのでチリッチがラリー戦を優位に運ぶことができませんでした。
第3ゲームもフェデラーが1ポイントしか落とさずにキープ。デュースサイドにおけるワイドへのスライスサーブが本当に効いていました。速さにも変化を付けており、ゲームポイントではこれまでよりも緩いサーブでエースを取っていました。3ポイント目でチリッチが早いスライスサーブへ対応しポイントを取っていたので、そこへの牽制だったのでしょうか。
このエンドチェンジの間にチリッチがトレーナーを呼びましたが、ここで明らかにチリッチが涙を流していました。WOWOWの解説の方が言っていましたが、チリッチはまじめな性格だそうなので、本当に悔しくて泣いていたのでしょう。この涙によりチリッチへの声援が大きくなりました。僕はここで少し流れが変わるかもと思っていました。
第4ゲームで明らかにチリッチの作戦が変わりました。1stサーブが入った全てのポイントでサービスダッシュを試みます。1stサーブが決まればストロークで打ち合うよりポイントを取れる確率が高いように見えます。ですが、フェデラーもタダでポイントを献上しているわけではなく、チリッチに簡単にボレーさせないように足元へ正確なリターンを返していました。このゲームはチリッチが上手く処理しサービスキープ。表情も悪くないように見えました。
第5ゲームはフェデラーのボレーミスもあり久しぶりにチリッチがリターンゲームでポイントを先行。15-15の3ポイント目で思い切って2ndサーブに対するリターンでネットを取ろうとしますがミスになってしまいます。ここが入っていればチリッチにブレークのチャンスが来る可能性がありました。
第6ゲームでフェデラーが再びブレーク。相変わらずチリッチがサービスダッシュでポイントを狙います。最初の2ポイントはいい形でポイントを取りますが、それ以降はフェデラーのリターン力が光ります。チリッチが前に来れば足元へ、ステイバックすれば深いスライスやライジングでリターンエースと多彩なパターンでチリッチにポイントを許しません。とにかくチリッチのペースが作れないようにフェデラーが早めに展開しているように見えました。
第7ゲームをフェデラーがラブゲームでキープし、2セットアップ。
このセット間でチリッチがメディカルタイムアウトを要求し、左の足の平の治療を受けていました。ただ、先ほどトレーナーを呼んだ時とは異なり、表情は悪くありません。まだまだ諦めていないように見えました。
【第3セット】フェデラー 6-4 チリッチ
第1ゲームはチリッチのサーブです。チリッチはサービスダッシュは効かないと考えたのか、ストロークラリーの展開に戻していました。1ポイントしか落とさずにキープに成功しました。1stサーブを入れてストロークで展開した方がチリッチのリズムになっているように見えました。
第2ゲームはあっさりとフェデラーがサービスキープに成功。淡々とポイントを重ねているように見えて2ndサーブでサービスダッシュを行うなど、チリッチに的を絞らせないような工夫が見られました。フェデラーが(当たり前ですが)油断していないことを示していますね。
第3ゲームは3度のデュースまで長引きますがチリッチがサービスキープ。最初の4ポイントにおいてはフェデラーが明らかにスライスを主体にラリーを進めていました。リターンも含めてスライスの深さを使い分けることでチリッチのミスを誘い0-30とします。チリッチに対しては低いスライスが相当効くと考えたのでしょうか。チリッチが我慢してチャンスを待ったことで30-30とタイに戻します。フェデラーのラリーが元に戻ったところでしたが、チリッチが我慢のラリーとサービスダッシュを見せてキープしました。チリッチが得点するには1stサーブでフェデラーの読みを外し、先にストロークを上から叩ける形に持っていくしかないように見えました。
このエンドチェンジ間で客席のロイヤルボックスが映し出されました。ウィリアム王子夫妻をはじめ、テニス界のレジェンドであるロッド・レーバー、クリス・エバート、そしてフェデラーのコーチを務めたこともあるステファン・エドバーグなど往年の名選手が客席にいたんですね。レーバーは全豪オープンの会場メルボルンパークのセンターコートの名前の由来にもなっているレジェンドです。僕は動画ですらプレーを見たことがありません。エバートは漫画「エースをねらえ!」の登場人物というイメージです。
第4ゲームは久しぶりにフェデラーのサーブがもつれました。デュースサイドの1stサーブはワイドへのスライスサーブを執拗に使っていました。チリッチがこのパターンに継続して対応できなかったことがフェデラーのサービスゲームを楽にしていたと思います。また、2ndサーブでサービスダッシュするフリをしてチリッチのリターンのネットミスを誘うなど、作戦の緻密さがうかがえました。
第5ゲームもチリッチがキープ。サービスエース2本にサービスダッシュ1本、フェデラーのリターンミス1本でゲームを取りました。やはりサーブで優位を保てなければチリッチがポイントを取るのが難しいと見て取れます。
第6ゲームはフェデラーがラブゲームでサービスキープ。全て3球以内に仕留めています。チリッチがリターンで優位な場面はありませんした。サービス力は互角またはチリッチが上回る場面もありますが、リターン力に関してはフェデラーが大きく引き離していると言えるでしょう。
第7ゲームでフェデラーが優勝を大きく手繰り寄せるブレークに成功します。ブレークポイントとなった5ポイント目では踏み込んだ早いタイミングのリターンから緩いスライスで緩急をつけ、チリッチのミスを誘いました。怪我のためかポイントを短くしたいチリッチにとってスライスでペースを落とされるのは相当嫌な展開だったと思います。無理に強打してミスする場面が目立ちました。
第8ゲームはフェデラーがキープ。チリッチが(この試合で初めて?)ドロップショットを見せており、ポイントを取りますがフェデラーが難なくキープします。チリッチはここまで小技を使わずサーブと強打に頼った展開ばかりだったので、もう少し搦め手を交えた試合展開を作ってもいいような気がしました。また、フェデラーが4ポイント目で回り込みストレートでウィナーを取った際は大きな声で自分を鼓舞しており、優勝の瞬間まで手を抜かないということを対戦相手のチリッチや観客に示していました。
第9ゲームはショートポイントを重ねたチリッチがキープに成功。フェデラーは次の自分のサーブに集中しているようでした。チリッチからガッツポーズも見られましたし、サービスゲームをテンポよくキープできていました。次のゲームに最後の希望がまだあると信じているように見えました。
第10ゲーム、いよいよフェデラーのserving
for the championshipです。1ポイント目はチリッチが2ndサーブからのラリーを制してポイントリード。しかし、フェデラーがその次の3ポイントをサーブだけで奪いました。次のポイントはチリッチのナイスリターンで40-30となりますが、最後はセンターへサービスエース。フェデラーの優勝が決まりました。
以上、試合を観た感想でした。戦前の予想よりも一方的にフェデラーが優位な試合展開でした。スタッツなどは専門のサイトに譲ることにして、全体の印象を書きます。
試合全体を通してフェデラーのリターン力がものを言った試合だったと思います。ビッグサーバーにとって芝のコートでサービスゲームが長引くのは心地の良いものではありません。短く終わりたいものです。そこをフェデラーがコース、タイミング、球種を多彩かつ正確に使い分けることでチリッチにリズムを与えず、一方的な展開を作りました。もちろん、怪我がなければチリッチはストロークラリーに持ち込む展開をより多く作っていたのでしょうが、それを差し引いてもフェデラーのリターン力の勝利と言えるでしょう。
また、2ndサーブでネットを取る、スライスオンリーのラリーを行うなど、フェデラーが自分のリズムで試合を進めるための工夫が要所に観られ、一方的ながらも面白い試合でした。
試合への考察は以上です。今後もテニスに関する記事を書いていきますので、よかったらまた読んでください。よろしくお願いします。
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